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ブランドストーリー

福を担ぎ、三代続く菓子の香りを繋ぐ

「王西勢(ワンシーシー)」、それは家族の姓と、発祥の地である「西勢」を組み合わせた名前です。私たちが繋いでいきたいのは、単なる菓子店ではなく、隣人のような親しみやすさと温もりです。

私たちは三代にわたる家業を受け継ぎ、百年続く「担餅節(たんびんせつ)」の精神を大切にしてきました。天秤棒の両端で担ぐのは、単なる菓子ではなく、隣人同士で「福を分かち合う」という厚い心です。

王西勢は、代々受け継がれた職人の魂と現代のデザイン美学を融合させ、古くからある「水果餅(フルーツ餅)」に新たな命を吹き込みました。生地をこね、焼き上がるのを待つ一つひとつの時間は、伝統に対する私たちの誠実なこだわりです。三代にわたって愛されてきたこの地元の味を、手にした皆様にとって最も温かい贈り物となるようお届けします。

天秤棒から始まった、百年の味わい

【 始まり:百年の祭りに漂う爽やかな果実の香り 】

「水果餅」は、台南永康の西勢地区に伝わる伝統菓子で、地域の「担餅節」や新生児の誕生を祝う人生儀礼と深く関わっています。

物語の始まりは、台南永康一帯で百年以上続く「担餅節」に遡ります。旧暦の正月二十日に行われるこの行事は、もともと村人が男児の誕生を神に感謝するために始めた還願活動でした。人々は天秤棒を担ぎ、福と神の加護を象徴する菓子を近隣に配っていました。時代の変化とともにこの伝統は性別を超えたものとなり、今では男の子であれ女の子であれ、新しい命の誕生の喜びと福を皆で分かち合う、地域の絆を深める素晴らしい風習となっています。

1950年、わずか16歳だった初代の熟練職人、王吉生は、台南の老舗名店「旧永瑞珍」で修行を積んだ後、その確かな技を携えて故郷に戻りました。彼は、当時の祭祀によく使われていた「水餅」の風味が単調であることに気づきました。折しも旧正月は柑橘類の収穫期。そこで彼は、縁起の良い柑橘の皮と、地元で豊富に採れるサツマイモを餡に練り込むというアイデアを思いつきました。この清らかで奥深い果実の香りは、伝統的な菓子に新たな魂を吹き込み、「水果餅」という名が生まれました。それは西勢の人々にとって、代々受け継がれてきた忘れがたい記憶となりました。

【 伝統との衝突:デザイン美学と老舗のこだわり 】

しかし、食の好みが次第に西洋化する中で、伝統的な中華菓子の市場はかつての勢いを失いました。家族の菓子事業も大きな影響を受け、一時は行事用の水果餅のみを細々と作るまでに縮小しました。幼い頃から祖父や父の背中を見て育った三代目は、伝統と地元の文化が廃れていくのを直視できず、外地でのデザイナーの仕事を辞めて故郷へ戻り、家業に加わることを決意しました。

帰郷した当初は、「変わるべきもの」と「守るべきもの」のせめぎ合いでした。三代目は、水果餅のサイズを小さくして精緻化し、「担餅」のイメージを取り入れた竹かご風のギフトボックスをデザインしたいと考えました。しかし年長者たちにとっては、手間がかかりコストのかかる冒険でした。「こんなに手間をかけて価格も高いと、常連客が買ってくれるはずがない」と反対されたのです。

やがてこのこだわりがメディアに取り上げられ、評判が広まると、遠方からの観光客が訪れるようになりました。地元の人々も「これは私たちの自慢の特産品だよ」と誇りを持って贈答用にするようになり、ようやく年長者たちもその価値を認め、客に向かって笑顔で「これは息子がデザインしたんだよ」と自慢するようになったのです。

【 空間の刻印:祖母の家を店に詰め込んで 】

三代目が引き継いだ後、私たちは発祥の地の近くに新しい店舗を探し、「王西勢」として再出発しました。店内にはあえて老舗の古びた雰囲気を作るのではなく、祖母の家の古い家具を使い、生活の温もりを丁寧に重ね合わせました。

かつて使われていた食器棚や長年愛用した腰掛け、古い引き戸から外した木枠は、店内の棚として新たな命を得ました。その他にも、祖父が遺したアンティークの菓子型や旧式の扇風機、餅を担ぐための竹かごなどが、静かに歳月を物語っています。これらの道具は言葉を発しませんが、1950年代から変わらぬ温度とレシピを今に伝えています。

【 職人の味:果実の香りが溢れる優雅さ 】

最後に、味覚の原点へ立ち返ります。私たちの手作り水果餅は、ふんわりとしてしつこくない絶妙なバランスを追求しています。

餡にはサツマイモのほくほくとした食感があり、かすかな柑橘の香りが広がります。時折口にするキンカンやパイナップルの果肉が、美味しさに驚きを加えてくれます。果実の香りが溢れる、清らかで上品な味わい。日常のおやつとしても、大切な方への贈り物としても、台南西勢の福が口の中で優雅に花開くことでしょう。